あかでやみぬる月の光を

本との出会いを徒然なるままに綴る。

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不祥事

不祥事
著者:池井戸潤

 トラブルを抱える支店を訪問し指導・解決を図る部署。事務部門事務管理グループいわゆる臨店指導に移動してから2ヶ月経ち新しい業務にそろそろ馴れ始めた調査役相馬建。
 その相馬と二人三脚でコンビを組むことになったやり手のエリート・テラー花咲舞。別名狂咲とも揶揄される彼女は、時には上下の別なく正論を吐き、大胆な行動力で銀行というもっとも硬直した組織内では異端の存在だったことから名づけられたようである。しかしテラー業務、銀行の店頭での窓口業務では行内でも屈指の速さと正確さを併せ持つ逸材である。

 早速、誤払いが発生した店舗に調査に向かう二人……。
 三千万円の誤払いが発生し裁判沙汰にも及ぶトラブルの影にコスト削減の影が見え隠れする。誤払いの責任を窓口業務を行った女子行員一人に背負わせようとする。支店が抱える本当の問題点とは「激戦区」

 入社一年目の新人行員田端恭子。彼女のミスが目立つと臨店調査に来たが先輩行員が指導する様子もなく入社一年目に任せられるほど窓口業務は単純ではない。どうやら支店の新人の指導に問題があるように思われたが、そんな折り不慣れな恭子の三番窓口に一億円の送金依頼の客がやってくる。奇妙に急かすような態度をとり続ける客と呼応するように副支店長の態度が……。「三番窓口」

 新宿支店に指導に来た花咲たちだったが、人員削減ゆえのケアレスミスはあるものの窓口業務は良好な店舗だった。しかし、さる大企業の御曹司が営業として配属されてた、彼は中小企業に尊大な態度をとり続けるが……「腐魚」

 金融庁の検査が入るらしい。どうせ大型店舗だと高をくくっていたが奇しくも花咲たちが臨店で調査に入っていた武蔵小杉支店だった。いぶかしく思いながらも金融庁の検査を見守る。的確に隠蔽書類の提出を求める検査官たち。その裏に内部告発者の存在が……。「主任検査官」

 鎌田支店へと応援に行かされた相馬と花咲。そう臨店の調査指導ではなく応援であることが何かの意趣返しにも思える。しかし花咲は罠ともとれるような激務に駆りだされたにもかかわらず嬉々として窓口業務をこなしていく。
そこへありふれた名前の会社の社長が当座預金開設にやってくる。普段は気にも留めないところだが引っ掛かるものを感じ取った花咲は……。「荒磯の子」

 原宿支店で指導していた矢先に百万円の過払いが発生する。パソコンの卸をしている会社に払い戻した二百五十万円の金額の中に含まれていたと思われた。支店長は過払い先と思われた社長に頭を下げて取りにいくが……。「過払い」

 部長児玉直樹の基に彼岸花が届く。送り主の名前に記憶がなく妙に気になった彼が調べてみると、そこには転落した行員(バンカー)の軌跡があった。「彼岸花」

 伊丹百貨店の全従業員、九千人分の給与データが紛失した。!!
データの紛失か処理漏れなのかで事件の概要はおのずと変ってくる。伊丹百貨店からは新規プロジェクトの融資を断る姿勢を見せる中で、花咲たちも調査をするがヒアリングから浮かび上がった事実はだれも給与データの入ったMOボックスを見ていないことだった。
 悪意のある盗難の可能性も示唆する花咲に、調査を促した児玉部長だったが早々に会議を切り上げた。そして花咲が見つけた真犯人は……。「不祥事」



 花咲舞と、その花咲を押さえる役割の相馬建のコンビ(時には花咲舞ひとりで)で数々のトラブルを解きほぐしていく連作短編です。

 銀行員を辞去して作家活動に入られた池井戸潤氏が銀行舞台にを描いた快作です。どの作品もおそらく池井戸氏が言いたくても飲み込んだであろう言葉の数々を、花咲舞が換わって口にしているかのように痛快な活躍ぶりを発揮してくれます。
 時にはユーモアあふれる内容ながら、根底には銀行の理不尽な組織に対するニヒリズムをうかがわせます。
 お金を扱うところからなのか、余計に人間の欲望がむき出しになったり、見事に理論整然と理性あふれる大人の対応を見せたりと、善人も悪人も愛すべき人間たちには違いありません。

小説・文芸・経済・ドラマ・短編連作
不祥事 (講談社文庫)不祥事 (講談社文庫)
(2007/08/11)
池井戸 潤

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最新オリジナルアルバム[Stolen from strangers](2007)、[The Miraculous Mandarin](舞台:中国の不思議な役人)(2009)から、デビューアルバム[JUNE NIGHT LOVE](1983)まで、ソロでの作品からサウンドトラック、プロデュース作品、CM音楽として提供したものなど、今までの作品の中から21タイトル(09年10月現在)・各4~6曲ずつ全122曲を試聴できます。既に入手困難なアルバムもラインナップ。各曲フルレングスで聴くことができ、三宅 純の世界をPC上で体感できるパーツです。 TDKカセットテープ ADスプレンダーCM曲。アルバムjune night loveに収録されている「could it be real?」がお勧め。

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