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本との出会いを徒然なるままに綴る。

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告発封印

告発封印
著者:高任和夫

「魔の十一月」
 どこにでもある町の中小零細企業のプレス加工会社の遠山製作所社長の遠山。そこに銀行の担当者から一本の電話がかかってくる。事前にアポをとっただけの電話だったがいつもは経理を担当している妻の芳江に用があるはずと訝しげに思うが漠然とした不安が沸き始めていた。
 その電話の主である舟木は。地方銀行の融資課長である。時代の変化によりプレス加工も金型などの金属加工にCAD/CAMを使うのが当たり前となり他にも数値制御などに導入するパソコンなどを含め数千万単位の資金が必要だった。それまでメインにしていた銀行は中小の増資計画に積極的とはいえず苦労したが、隣町から転勤してきた舟木は極めて積極的に本店の審査部門を口説いてくれたらしく融資に応じてくれていた。今では借り入れが2億円に膨らんでウチのメインバンクとなっていた。
そして、約束の日時に訪れた舟木が一通り世間話が終わった後。
「銀行が危ないのです」
と切り出した。営業譲渡で清算されそうだと続ける舟木の言葉に……。



 地方でプレス加工を営む中小企業・遠山製作所。突然のメインバンク破綻に伴う資金繰りの顛末。貸し渋り・貸し剥がしの恐怖におののきながらも新たなメインバンクを懸命に探し回る遠山夫妻の奮闘を描いた「魔の十一月」。

 大手商社のエリート社員が地下鉄のホームで転落し死亡する。揉みあっていたとの目撃証言などから事故と事件の両方で捜査が進められ、死亡した商社の人事部の井狩は会社の対面を気にする上司から内々の調査を命じられる。不承ながらも転落死した沢木光一を調べていくうちに、沢木が異常な性癖の持ち主だったことを知り……。
一転して推理小説で進められ思わぬ最後が待ち受ける「漁色」

 鍵メーカーの営業部長だった植草が社内の出世レースから外れ、辞職せざる終えない状況に追い込まれる。脱サラして鍵の業者を始めたものの仕事がなく困り果てていた。そんな植草にかつての部下から仕事が舞い込むが……。
どこにでもありそうな脱サラ零細業者の栄光と転落を描いた「ピッキング異聞」

 井狩が勤務する商社が早期退職者制度を実施した。しかし経理部門を統括する重要人物が応募してきたことから慰留を説得するように井狩に白羽の矢が立つ「辞める理由」

 銀行から出世レースに破れてリース会社に出向した専務・富樫。思わぬ合併話が持ち上がり順送りで社長の座につけると思っていたのが一転する。ライバルを蹴落とし次期社長の座を有利にするには驚異的な営業成績を上げておく必要があった。取引先の社長と信用する部下を引き連れ銀座のクラブで作戦会議を開く毎日。銀座のクラブ葉留のママに一目ぼれした専務は社長の座と新たな恋を両手に野望を膨らませる。「専務の恋」

 富樫専務が関わった事件を表ざたにしたくない親会社の銀行。頭取は同期の法務部OBの藤倉を頼りに電話をかける。藤倉は富樫の経費から手がかりを探していき、何もかも持ち去られたクラブで古新聞の記事を見つける。その記事を辿った先の女が「告発封印」

 連作小説の形をとり行きつけ住宅街のスナックなどを舞台に、奇妙に絡み合いながら話が進みます。
 あとがきなどの来歴から著者の高任和夫氏は、三井物産の審査部を勤め上げられ審査や法務の実務の描写が巧みなのは言うまでもないですが、企業の人と人のかかわり具合が実に絶妙ないい距離感で描かれます。
 どちらかというと”大人のお付き合い”といった一歩引いた感じが私などのオジサンにも好感が湧いてくる所以なのでしょう。好きでも嫌いでもない、また好き嫌いだけでは仕事が進められないといった立場の喜びや悲しみを著者の筆に感じます。

小説・文芸・経済・ドラマ
告発封印 (光文社文庫)告発封印 (光文社文庫)
(2006/11/09)
高任 和夫

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最新オリジナルアルバム[Stolen from strangers](2007)、[The Miraculous Mandarin](舞台:中国の不思議な役人)(2009)から、デビューアルバム[JUNE NIGHT LOVE](1983)まで、ソロでの作品からサウンドトラック、プロデュース作品、CM音楽として提供したものなど、今までの作品の中から21タイトル(09年10月現在)・各4~6曲ずつ全122曲を試聴できます。既に入手困難なアルバムもラインナップ。各曲フルレングスで聴くことができ、三宅 純の世界をPC上で体感できるパーツです。 TDKカセットテープ ADスプレンダーCM曲。アルバムjune night loveに収録されている「could it be real?」がお勧め。

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