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ハゲタカ(上)

ハゲタカ(上)
著者:真山仁

 鷲津政彦はピアニストを目指し、希望と情熱に溢れてアメリカの音楽院に留学してから7年。アルバイトで学費を捻出するどこにでもいる苦学生の一人だった。しかし何度目かのアルバイト先の服飾関係のバイヤーで頭角を現した政彦の手腕を投資ファンドが放って置くはずもなく、また彼もファンドビジネスの才能を開花させ手腕を発揮した。
 1997年、過剰な不動産投資のバブルがはじけ多額の不良債権に苦しむ日本経済。三葉銀行も他の銀行に漏れず不良債権に苦しんでいた。芝野健夫は三葉銀行の不良債権処理の最前線を任され日夜奮闘する日々を送っていた。
 同じ頃、日光を地盤にする名門ホテルグループ、創業者一族の一人である松平貴子は、ホテル経営を学ぶため海外に留学し現地のホテルで腕を磨いた。しかし日本に戻って来た彼女は折り合いの悪い父との関係から実家には戻らず、東京のベイエリアに新規開業した名門ホテルに就職していた。
 バブルがはじけた瀕死の日本を舞台に交わるはずがなかった三人の運命が交差する。鷲津政彦は不良債権を買う投資のプロフェッショナル。ホライズンファンド日本法人社長として、芝野健夫は三葉銀行資産流動化開発室・室長。三葉銀行再生の切り札として、そしてバブル経済で多額の投資を行い、経営が行き詰まり迷走する日光の名門ホテル再建を一族から託された松平貴子。

 企業の買収と再生を丹念な取材をもとに描いた経済小説。



 丹念な取材をもとに描かれておりますが、連載が経済週刊誌だったためか不良債権を解説する記述が少なく、なぜ不良債券になるのか?どうして不良債権になると銀行は困るのか、そこの所の解説はおざなりですので少し整理をかねて書いておきます。

 色々な見方は出来ますが大まかにバブル経済は、プラザ合意やリゾート法の内需拡大の政治的な圧力と金利が低迷したことで、あふれた資金が証券市場や土地投資に流れ膨らんでいきます。
しかし際限なく貸し出していた日本の銀行も、BIS規制やノンバンク規制が重なり土地に流れていた資金が滞ります。当初は護送船団方式と呼ばれた銀行は楽観していましたが、土地から始まり株式市場やさまざまな資産が下落し資金の流れが滞る負の連鎖の始まりでした。

 不良債権はそもそも金融検査に端を発します。まず、銀行に貸付先の分類を要求します。

正常先、要注意先、破綻懸念先、実質破綻先、破綻先。

の5つですが、正常先と要注意先以外は”不良債権”と呼ばれるものです。
何が問題かと言うと、不良債権に分類されると担保を除いた貸付金額の50~75パーセントの貸倒引当金を積まなければならなくなります。
逆に言うと、担保価値が貸付金額を上回っていればなんら問題ありません。
今でもおそらく銀行は新しい融資は要りませんかといってくるでしょう。バブル当時は土地の価値が鰻上りだったので、極論すればすべて正常先だったのです。
しかしバブルがはじけると土地の担保価値が目減りし、担保の不足が出てきます。毎月キチンと返済していれば問題は表面化しませんが、一度でも滞ると問題が表面化します、

土地とビルに、10億円借りたとしましょう。
正常先の場合。銀行が積む貸倒引当金はおよそ2パーセント、2000万円です。
破綻先になった場合。土地とビルの担保価値が5億円として、銀行は担保価値を70パーセントで査定するので3億5千万円。つまり不良資産となった6億5千万円の50パーセント3億2500万円を貸倒引当金で用意しなければならなくなります。
つまり、正常先で2000万円だったものが破綻先になると3億2500万円も要ることになり、その金額は銀行の収益を圧迫したり資産を目減りすることになり財務が弱くなります。

 いままで正常先だったものが返済猶予を認めると破綻懸念先に分類されるので、銀行は交渉に応じません。何千万・何億円単位のお金を1支店でひねり出すのは容易ではないし、支店長や行員の出世などの人事考課に結びつきます。したがって反対に貸し渋り・貸し剥しがなぜ執拗に行われたのか、系列ノンバンクに迂回融資させて表面上返済を続けさせる”飛ばし”がなぜ行われたのか、そもそもなぜ銀行は不良債権を隠し続けたのか。
もう、お分かりになられたことだと思います。

そうです。厳密に精査していればおそらく多くの銀行が倒産していたことは想像に難くないと思います。公的資金注入なくして不良債権処理を行うことは出来なかったといえるでしょう。

今アメリカのサブプライム・ローンが問題になっていますが、当時の日本人と今のアメリカ人は資金の行き詰まりから負の連鎖が起こる。信用収縮の恐ろしさを理解していないと言えます。

小説・経済・ドラマ・TV
ハゲタカ(上) (講談社文庫)ハゲタカ(上) (講談社文庫)
(2006/03/15)
真山 仁

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