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本との出会いを徒然なるままに綴る。

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商社審査部25時

商 社 審 査 部 25 時  知られざる戦士たち
著者:高任和夫


 第一章 緊急情報
 3月29日。木曜日
 朝9時30分 
 大阪中之島の畿内商事株式会社審査部に設置してあるテレックスが、毎朝恒例の有力興信所からの信用不安情報を叩き出す。
 倒産の噂が立っている企業に関する情報で、事の性質上会社名はイニシャルで表示されているものの、読む人が読めばどの会社であるか容易に察しが付く。
 この朝、テレックスが打ち出した警戒情報の数は16件。
 審査部審査第三課の小早川は、その7番目の情報を見て軽くした打ちした。
――Kジツギョウ。ホンテン クレ。 シホンキン 八センマンエン。 ギョウシュ キカイハンバイ ジュチュウゲンカラ シキングリヒッパク――。
 小早川は、テレックスの受信分を引っ張るようにして抜き取り。足早に自分の所属する課に戻った。


 その3分後。
 審査第三課、課長の千草は広島へ電話を入れる。
 受話器を握り締めたまま、千草は『Kジツギョウ』すなわち共栄実業に関する書類を飛ばし読みする。電話の呼び出し音が7度繰り返された後にようやく広島の相手が出た。
――やあ、千草さん。こんなに朝早くどうしました。
 山陽経済研究所の戸倉情報課長だ。呉市に隣接する川尻町の出身で、東京の興信所に勤務した後、地元に戻る土地柄、造船、開運方面に強い。
「呉の共栄実業」
――共栄?
「そう、妙な話を聞かないか?」
――業績はおちてますな。はじめての減収だなんて公表しているが、あれは粉飾で、売上高の減少は間違いなく3期は続いている。
 共栄が左前なのは間違いない。戸倉が言うだけの赤字を抱えていては薄口銭の問屋では、今後隆盛を誇ることはありえない。しかし、それだけで必ずつぶれるとは言い切れない。商内を中止させるにはそれだけの確信がいる。
「信用不安が流れる時は、必ず誰かが先に逃げ出している。仕入先、金融機関、従業員。決まって一番すばしこいネズミから逃げ出す。共栄の場合は誰も逃げ出していない。なぜだ?」
――あ
千草は戸倉が頭の中の情報の断片から、貴重な何かを掬い上げたことを感じた。
――常務の桐野について、妙な噂を聞いた。
「それで解けたな。ネズミがいるとすればそれは桐野だ。ネタは本物かもしれない。」
――これから呉へ走ってみましょう。後でご連絡しますよ。


 朝一番で起こった呉の取引先の情報に忙殺される中で、福岡の取引先企業の社長が急逝し。また呉の造船会社が危ないと矢継ぎ早に事態は急を告げる。
 審査部課長千草は、文字通り東奔西走の債権管理を試みるが。そこには同時に新任の佐原取締役審査部長が描く”クリエイティブ・クレジット”を実現するべく単なる債権回収に留まらない。
 より未知なる大きな困難に身を投じるのだった。



 倒産しそうな、もしくは倒産してしまった企業の売掛金の回収方法は担保となる保証金や、裁判などによる保全や執行などが挙げられますが、どれもコレも時間がかかる方法は現実的ではありません。
 そういう意味では、後ろ向きですが損金処理して税金からの控除という形で払う税金を少なくするのが現実的な方法かもしれません。


 本書は、著者のデビュー作でありながら、事実に即した現実を折り混ぜることでより緊迫した場面が物語を引き締めます。
 たびたびキーワードとして出てくる。”クリエイティブ・クレジット”。物語上では債権を有効的に活用する方法を模索することになります。
 著者が勤めていた三井物産での手腕が、そのまま本書だとするのならまた面白い読み方が出来ますね。



小説・文芸・経済・ドラマ

商社審査部25時 (講談社文庫)商社審査部25時 (講談社文庫)
(2005/03/15)
高任 和夫

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