あかでやみぬる月の光を

本との出会いを徒然なるままに綴る。

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

孟嘗君 (四)

孟嘗君 (四)
著者:宮城谷昌光

 田忌将軍と孫臏が率いる斎の軍は馬陵の戦いにおいて魏の先駆けとなる前軍を率いて猛追してきた龐涓を一蹴し、主力軍を率いてゆるゆると前進する魏の太子・申の軍を撃破し太子も捕らえるという大勝利を成した。
 しかし、大きすぎる武功をたてた田忌を待っていたのは凱旋将軍の華々しい歓迎ではなく、宮廷闘争の渦巻く次代の宰相を巡る地位争いの只中だった。田嬰と田文の親子がひそかに宰相である鄒忌の陰謀を挫くべく奔走もむなしく。斎の君主・威王の佞臣が密かに奥深く暗躍し、田忌は謀反の疑いをかけられたのち立場を追われ失意の内に楚に亡命するより他に手はなかった。

 そして一方では、田文が嬰児のときに射弥の家で並んで寝ていた女の嬰児。ともに凶刃にさらされながら運命の波に翻弄されるかのように田文の身は白圭に、女児の身は隻真によって養育され隻蘭として父の斎建国の系譜を継ぐ姜姓の君主・康公の仇を果たさんと後宮に入り込んでいた。
 孫臏の告げた田文と隻蘭の生い立ちを知った田嬰の機知により隻蘭は密かに後宮から出され、父の康公の本当の敵は宰相の鄒忌であると知った隻蘭ではあったが鄒忌の手の内におちてしまう。

 隻蘭の行方を追う田文は斎から周へ向かう途中の邑で隻蘭を伴い逃げる一団と遭遇する。食客の機転で首尾よく隻蘭を保護した田文は斎に帰らず隻蘭を伴い白圭のいる周へ向かう。田文は隻蘭を白圭に預けると自らは周の父と慕う白圭がすすめる堤防工事の陣頭に立って指揮を振るった。
 白圭は後宮に入った折に威王の敬愛に触れ身篭った隻蘭の名前を洛芭に改めさせると洛芭が密かに田文を慕うことを知りつつ、無事に男児の出産を終えたあと実妹の嫁ぎ先である公孫鞅のいる秦に向かうように諭す。洛芭も迷いはあったものの田文との一夜を過ごすと白圭の提案を受け入れ秦へ旅立っていく。

 堤の事業も恙無く進んでいるころ。秦の公孫鞅に異変があったとの知らせが入る。秦の考公が逝去した後に恵文王が即位すると親しみを持っていないと解っていた商鞅は執政の席から降りたが、すぐに讒言するものによって叛逆者として裁かれてしまった。商鞅の妻であり白圭の妹・風麗を見つけ保護することは出来たが、秦に身を寄せていた洛芭は途中ではぐれてしまい行方がわからなかった。

 洛芭は白圭と面識のある商人の助けにより秦の国境を脱出し趙に向かっていた。しかし途中で商人のたっての願いにより韓の公叔家へ嫁入りする新婦の保母として同道することを懇願される。田文となした幼子を抱える身の上を説明し断ってはみたものの商人の懇願に負けて幼子を商人に預けて韓へ行く事を承諾する。しかしこのとき洛芭は、そのスグ後に商人が盗賊に襲われて惨殺され幼子は行方不明になる運命を知る由もなかった。
 韓の公叔家にて嫁入りも無事に済んだが、洛芭の美貌に目を止めた公叔のたっての希望により洛芭は趙に帰る約束を反故にされ置き去りにされてしまう。洛芭は置き去りにされ公叔の第二婦人にされようとしていると知ると逃げ出すチャンスを窺うが、折りよく斎から賓客として田嬰が招かれることを知る。なんとか田嬰の一行と連絡を取ろうと邸内を窺うと田嬰を敵と狙う育ての親である隻真が陪臣として潜り込んでいた。思わぬ再開に喜ぶ二人、洛芭から本当の真犯人を知らされ隻真は洛芭を公叔家から逃す手助けをする。

 洛芭が韓の公叔家から抜けて周へ旅立ち窮地を脱した頃。楚の大軍が斎に迫っていた。



 ハッキリ言ってこの四巻も孟嘗君はいてもいなくてもいい巻といえるかもしれません。言い換えるならこの巻は「洛芭 愛と流転の章」です。

 第一巻が「白圭」、第二巻が「公孫鞅」、第三巻が「孫臏」とつづいて第四巻が「洛芭」ですよ。田文の存在をうまく脇役に語らせながら存在感を増す手法は、ともすればあらぬ方向に話が流れて厭きさせてしまう難しいところです。しかし今回もグイグイと話に惹きつけられてしまうのは、もはや宮城谷マジックとも呼べる達筆振りです。

 それにしても、史書に残っている物が少ないのに孟嘗君をココまで描ききるとは。晏子も「晏子春秋」が残っていますが、どちらも戦いの山場がないので描く易さから言えば戦いの多い「楽毅」のほうが描きやすかったことと思います。逆に考えれば大事にならずに小事のうちに外交や内政で上手く政を納めていた孟嘗君のほうが名君なのは言うまでもないのです。それだけ平和な期間が多かったという査証でしょう。威王の影の部分を受け持ったと思われる鄒忌の扱いが雑なのもどうかなと思うところですが。 

小説・歴史・中国・ドラマ
孟嘗君〈4〉 (講談社文庫)孟嘗君〈4〉 (講談社文庫)
(1998/10)
宮城谷 昌光

商品詳細を見る
スポンサーサイト

Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

ご案内

プロフィール

緋色悠依

Author:緋色悠依
あかでやみぬる月の光を

 お勧めの本を紹介しております。
 リンク・フリー(アダルトはご遠慮ください)です。コメントなどでご一報いただければ幸いです。
あなたの拍手などが明日への活力に!!応援よろしくお願いします。

最新記事

三宅 純 Jun Miyake ブログパーツ

[Jun Miyake Music Player]

最新オリジナルアルバム[Stolen from strangers](2007)、[The Miraculous Mandarin](舞台:中国の不思議な役人)(2009)から、デビューアルバム[JUNE NIGHT LOVE](1983)まで、ソロでの作品からサウンドトラック、プロデュース作品、CM音楽として提供したものなど、今までの作品の中から21タイトル(09年10月現在)・各4~6曲ずつ全122曲を試聴できます。既に入手困難なアルバムもラインナップ。各曲フルレングスで聴くことができ、三宅 純の世界をPC上で体感できるパーツです。 TDKカセットテープ ADスプレンダーCM曲。アルバムjune night loveに収録されている「could it be real?」がお勧め。

おまかせ

2ちゃんねる痛いニュース

http://www.starbucks.co.jp

アクセスカウンター

現在の閲覧者数

現在の閲覧者数:

右サイドメニュー

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード

ジオターゲティング


ジオターゲティング
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。